形成外科は、外科や整形外科を標榜しているクリニックの１割程度の数しかありません。そのため、新規開業する場合でも競合は少ない診療科だと言えますが、どのような診療を行うのかによって必要な開業資金が大きく異なるため注意が必要です。
そこで今回は、形成外科を開業するメリットやデメリット、必要な開業資金や年収について解説します。
形成外科は、病気やケガを治療するのはもちろん、見た目を変えるための形成外科手術によって患者の悩みを解消し、心を救うことができるため、やりがいを感じられる診療科の一つです。
形成外科を開業することで、以下のようなメリットが得られるようになります。
形成外科の開業医になると、勤務医時代よりも年収がアップするケースが多いと言われています。形成外科の勤務医の平均年収は外科医の平均年収よりも多く、1,500万円程になるという調査結果があり、医師が個人で開業する場合は3,000万円以上の年収を得ることも可能なようです。開業医になれば頑張った分だけ収入が増えることになるため、収入面でもやりがいを感じられるでしょう。
勤務医の場合、勤務時間は働いている病院側にコントロールされてしまいますが、開業医になれは自分で働く時間をコントロールすることができるようになります。形成外科は、比較的緊急性の高い患者を受け入れなければならない可能性が少ない診療科のため、開業することでプライベートな時間を増やすことができるでしょう。
医師が開業する最大のメリットは、自分の理想の医療を提供できるようになることです。形成外科の勤務医の場合、組織に属して働くことになるため、どうしても組織の意向に沿った仕事をする必要があり、自分の理想とは異なる医療現場に戸惑いを感じることもあるでしょう。しかし、自分でクリニックを開業すれば開業地、建物、診療内容、勤務時間など、すべてを自分で決めることができるため、理想の医療を実現することができます。
形成外科の開業にはメリットも多いですが、デメリットがないわけではありません。これから形成外科の開業医を目指すという方は、メリットだけでなくデメリットも把握したうえで、最善の方法を検討しましょう。
形成外科を開業する場合、形成外科の他に美容外科も標榜するとなると、医療機器の導入コストが高額になることがあります。特に美容外科で使用するレーザー機器は高額のものが多く、中には1台1,000万円を超えるものもあります。美容外科は自由診療なので高い利益が期待できますが、初めから高額の医療機器を揃えてしまうと集患の状況によっては経営難に陥ってしまうこともあるため、注意も必要です。
形成外科は比較的競合が少ない診療科ではあるものの、開業したらすぐに患者が来院するというわけではありません。新規開業しても、地域の人に認知されなければ、安定した集患は見込めないでしょう。
集患のためには宣伝広告費がかかります。特に形成外科の場合、整形外科や美容外科との違いがよく分からないという人も多いため、診療方針を明確にしたうえで、診療内容について分かりやすく宣伝していくことが大切です。
開業医になると、医師としての勤務をこなしながら経営者として財務や税務、労務管理、人材育成などが必要になります。つまり、形成外科の医師としての能力だけではなく、経営者としての能力も問われることになるということです。
どんなに医療技術があったとしても経営能力がなければ、経営が上手くいかなくなり、閉院しなければならなくなる可能性もあります。また、患者からの苦情処理などの対応も行わなければならなくなるため、医療以外の業務が発生する点は開業医になるデメリットだと言えます。
形成外科の開業に必要な資金と開業後の年収について解説していきます。
形成外科の開業に必要な資金は、4,000～5,000万円と言われていますが、形成外科のみの診療を行うのか、美容外科や皮膚科なども標榜するのかによっても必要な開業資金が大幅に異なってきます。
特に美容外科を標榜する場合は、医療機器が高額になるため、診療科や診療内容は慎重に決めることが必要です。開業初期は安定した収益を上げることが難しいため、開業資金を抑える意味でも開業当時はあまり手を広げず、必要に応じて診療内容の拡充を検討していくようにすると良いでしょう。
形成外科医の年収は外科の医師よりも多い傾向にあり、開業医になると勤務医時代の2倍以上になる医師もいます。ただし、勤務医とは異なり、クリニックのすべての収益が医師の給与になるわけではないので、年収をアップするためには継続的に患者を確保し続けるための努力が必要になります。
形成外科は、外科や整形外科と比較すると競合が少ない診療科ですが、形成外科以外に美容外科や皮膚科を標榜するクリニックも多くなっています。美容外科は自由診療なので高額の収入が期待できますが、医療機器や内装工事費が高額となり、また競合も多いため、他のクリニックとの差別化を図るなどの対策も必要です。
形成外科の開業方法には、新規開業以外に医療承継による承継開業という方法もあります。
承継開業とは、すでに診療しているクリニック引き継ぐ形で開業することで、建物や医療機器はもちろん、スタッフや患者も引き継ぐ形で開業できるため、形成外科の開業に必要な初期費用や集客に必要な広告宣伝費を抑えられる可能性が高く、比較的早いタイミングで経営を軌道に乗せやすくなるというメリットがあります。 形成外科の開業には、医院承継を検討してみるのも良いでしょう。
形成外科は勤務医よりも開業医のほうが平均年収は高く、自分の理想のクリニックを実現できるなどのメリットがあります。しかし、高額の開業資金が必要なため、集患が上手くいかなければすぐに経営が立ち行かなくなってしまう点はデメリットとも言えます。
医院承継を利用した開業であれば、患者さんがいる状態でクリニックを開業することができるため、新たな場所で新規開業するよりも集患しやすく、建物や医療機器にかかる初期費用も大幅に抑えることができるため、スタートアップのリスクを低減することが可能です。
名南M&Aは、事業承継支援20年にわたる実績、800件の医療機関への業務支援実績があります。承継開業までの煩雑な手続きや交渉を、担当アドバイザーが窓口となり実績のある専門チームで開業をバックアップしています。
形成外科の承継開業は、ぜひ名南M&Aにお気軽にご相談ください。
小児科を開業することで、勤務医よりも年収がアップし、診療方針や時間も自由に決められるといったメリットがあります。しかし昨今のコロナ禍で小児科の患者数は減少傾向にあるため、開業後に安定した経営を続けていくためには、開業準備の段階からしっかりと対策を取っておきたいところです。 そこで今回は、小児科の開業を検討している方に向けて、準備しておきたい開業資金や開業医の年収をはじめ、開業準備の段階から注意すべきことについて解説していきます。
