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事業譲渡における消費税の仕組みとは?課税資産・非課税資産の分類について

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一般的に事業譲渡を行う場合、「消費税」と「法人税」の2種類の税金が発生します。譲渡金額が高額になるほど支払う税金も高額になるため、あらかじめ理解しておくことが大切です。
この記事では、事業譲渡における消費税の仕組みと課税資産・非課税資産の分類について解説します。

事業譲渡にかかる税金の種類と税率

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対価を得て資産を譲渡した場合、譲渡所得に対して消費税が課税されます。
ただし、医療M&Aによる事業譲渡は、個人病院、出資持分ありの医療法人、出資持分なしの医療法人の違いやM&Aのスキームによって、消費税が課税されないケースもあります。

消費税の税率

事業譲渡では、事業に必要な資産、負債、人材などを売却しますが、譲渡内容に税法上の課税資産が含まれている場合は消費税が発生します。
譲渡資産には、課税の対象となる「課税資産」と課税の対象にならない「非課税資産」があり、課税資産は消費税の対象になりますが非課税資産は課税されません。

法令によって税率が変動した場合は、事業譲渡における消費税率も同様に変動します。
2019年10月以前の事業譲渡の消費税率は8%でしたが、2019年10月から消費税率が引き上げられたため、現在の税率は10%です。

事業譲渡にかかる消費税額は、「(譲渡価格-非課税資産額)×消費税率(10%)」で求めます。
例えば、事業総額が7,000万円のうち、非課税資産が2,000万円だった場合の消費税額は、(7,000万円-2,000万円)×10%=500万円となり、消費税は売り手側の病院が支払うことになります。

医療法人には、出資持分ありの医療法人と出資持分なしの医療法人があり、現存する医療法人のうち、出資持分ありの医療法人は全体の約68%を占めています。
出資持分ありの医療法人が出資持分譲渡によるM&Aを行った場合、消費税は非課税になります。

法人税の税率

事業譲渡によって売り手側の病院が得た売却益は、法人税の対象となります。
法人税は、譲渡額から負債額が差し引いた金額に対して約30%です。

例えば、譲渡額が1億円、負債額が2,000万円だった場合、(1億円-2,000万円)×30%となり、2,400万円の法人税がかかることになります。

事業譲渡における課税資産・非課税資産の分類

事業譲渡される資産には、課税対象となる課税資産と課税対象にならない非課税資産があります。

課税資産とは

課税資産とは、名称の通り、事業譲渡によって課税対象になる資産のことです。
課税資産には、以下のようなものがあります。

・有形固定資産

有形固定資産とは、事業で必要となる形のある資産です。
有形固定資産には「建物」「施設」「車両運搬具」「器具機械」などがあり、通常であれば土地も有形固定資産に含まれますが、事業譲渡による消費税を計算する場合、土地は課税対象から除外されます。

・無形固定資産

無形固定資産とは、形のない資産のことです。
「特許権」「意匠権」「事業独自のノウハウ」などが無形固定資産にあたります。

・棚卸資産

棚卸資産とは、企業が所有する「販売予定のある商品」や、商品を作るための「原材料」などのことです。
病院では、患者の治療のために必要な「医薬品」や「衛生用品」などが棚卸資産にあたります。

・のれん代(営業権)

のれん代とは、「ブランド力」「技術力」「ノウハウ」など、事業譲渡後に収益につながる価値をお金に換算したものです。
売り手側の純資産にのれん代を加えた金額を買収額とするケースが多いため、「買収額-純資産額=のれん代」と言い換えることもできます。

非課税資産とは

非課税資産とは、課税されない資産のことです。非課税資産には、「土地」「債権」「有価証券」などがあります。

・土地

通常、土地は有形固定資産に含まれますが、消費される資産ではないため消費税はかかりません。

・債権

債権とは、特定の人や会社に対して金銭の支払いなどを請求できる権利のことで、例えば売掛金も債権の一種です。
通常、売掛金を計上する際は消費税も計上します。
債権である売掛金に対して消費税が課税されてしまうと、二重で消費税が課税されてしまうことになります。
債権が課税対象にはならないのはそのためです。

・有価証券

有価証券とは、株式、債券、小切手などの資産です。
株式など「有価証券」の譲渡は消費税上非課税取引となるため、非課税資産になります。

医療M&Aにおける事業譲渡の注意点

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医療M&Aにおける事業譲渡を行う場合、所得税や法人税などの税金以外にも、いくつか注意しなければならないことがあります。

低廉譲渡(ていれんじょうと)について

低廉譲渡とは、相場よりも著しく低い金額で譲渡することをいいます。
一般的な事業譲渡の場合は、低廉譲渡に相当するような金額での譲渡が行われるケースはほとんどありません。

しかし、親子間で譲渡を行う場合、あまり低い金額で譲渡を行うと低廉譲渡とみなされる可能性があるため注意が必要です。
低廉譲渡とみなされると、時価と譲渡価格の差額分が贈与に値すると判断されるため、その部分に対して贈与税が課税されます。

退職給付債務について

買い手側が注意しなければならないのが退職給付債務です。
通常であれば将来支払う予定の退職金は、退職給付債務を負債として計上しておく必要があります。
未払い残業代などがある場合も、本来は債務として計上しなければいけません。

しかし、このような債務は正しく計上されていないケースも多く、簿外債務となっている場合があります。
簿外債務がある病院を買収した場合、将来的に売り手側ではなく買い手側が負担することになります。

このような事態になることを避けるためには、デューデリジェンスで簿外債務の有無をしっかりと確認しておくことが大切です。

病院・クリニックの事業譲渡は名南M&Aにご相談ください

医療M&Aによる事業譲渡を行う場合、売り手側には譲渡利益に対して消費税や法人税が課税されるため、税金分を考慮した交渉が必要です。
また買い手側は、デューデリジェンスが不十分だった場合、事業譲受後に簿外債務が発覚するケースなどがあるため、注意しておきましょう。
一般的なM&Aの場合、買い手側の企業に会社を乗っ取られるというイメージを持つ人も少なくありません。
しかし、経営者の高齢化や後継者不足から、地域への医療の提供を継続するために、医療M&Aが行われるケースが増えてきています。

名南M&Aは、税理士・司法書士・社労士・弁護士等の専門家によるワンストップ対応が可能です。
全国約800件以上の病医院経営の安定・成長をサポートしてきた実績とノウハウの蓄積を生かし、医療機関のM&A実績が豊富な専門チームが、一般事業会社とは異なる対応が求められる医療M&Aのサポートを行っています。
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