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医療法人の買収方法、株式会社の出資持分取得スキームを解説

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医療法人のM&Aでは、医療法人同士だけではなく株式会社が買収を希望するケースもあります。
この記事では、医療法人の買収方法や株式会社が出資持分を取得する際のスキームについて解説します。

医療法人の買収における注意点

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株式会社の場合は営利目的での活動が認められていますが、医療法人には非営利性が求められています。
非営利性とは、利益を上げてはいけないということではなく、「利益の分配が認められていない」という意味です。

株式会社の場合、株式を発行して投資家から集めたお金で会社の運営を行い、会社に利益が出た場合は、配当という形で投資家に還元します。

一方、医療法人の場合は余剰金の配当が禁止されているため、利益が出た場合は内部保留という形で蓄積されていきます。

営利目的が認められている株式会社が、非営利性が求められる医療法人を買収する場合、通常の企業買収と比較すると内容が複雑で、医療法に則った条件をクリアしなければなりません。

医療法人を買収するためのM&Aスキーム

医療法人には、「持分あり」の医療法人と「持分なし」の医療法人の2種類があります。 医療法人の持分とは、株式会社でいう株式に相当するものです。

株式会社の買収を行う場合、「株式譲渡」というスキームが使われることがあります。
株式譲渡とは、売り手企業の株式を買い手企業が買い取ることで、経営権を移動させる手法です。
株式会社の場合は、株式と同時に議決権も取得できるため、売り手側企業の株式の過半数、ないしは3分の2以上を取得することで、役員の選任や定款の変更といった経営方針を買い手側企業の意思だけで決められるようになります。

一方、医療法人のM&Aスキームは、株式会社に比べて少し複雑になります。
出資持分ありの医療法人の場合は、「出資持分譲渡」というスキームで買収することができますが、それだけで経営権が移るわけではありません。
医療法人の出資持分と議決権はまったく別のものなので、出資持分を買い取ったとしても、その医療法人の経営を支配することはできないのです。

ここでは、株式会社が医療法人を買収するスキームについて、基本的な流れを解説します。

出資持分の取得(出資持分ありの場合)

出資持分ありの医療法人を買収する場合、まずは買い手側の株式会社と売り手側の医療法人及び出資者との間で、出資持分譲渡契約の締結を行います。

出資持分譲渡契約書には、日付や譲渡対価、前提条件や表明保証など、譲渡契約に関わるさまざまな条件や取り決めを記載していきます。
医療法人のM&Aでは、譲渡実行後に過去の事案による紛争が発生したり、未払い金の請求を受けたりするケースも少なくないため、そのような場合にどちらがどう対応するかなども決めておく必要があるでしょう。

また、先ほども説明したとおり、株式会社による医療法人の買収では、出資持分を取得しただけで経営権が移るわけではありません。
経営権を移すには、医療法人を経営する理事や役員、社員の交代が必要です。
経営権をいつ引き継ぐのか、どのようにして引き継ぐのかについては、事前に取り決めを行い、「覚書」や「経営引継契約書」などを締結しておくのが一般的です。

医師または歯科医師の入社

株式会社が医療法人で経営権を得るためには、議決権を持つ社員を送り込む必要があります。医療法人の理事長になれるのは原則「医師」または「歯科医師」のみです。
つまり、株式会社は医師または歯科医師を選任し、医療法人の理事長として入社させる必要があるのです。

議決権の過半数を取得

医療法人の経営権を得るためには、社員総会及び理事会における議決権の過半数以上を取得しなければなりません。
医療法人の社員及び理事は、原則3名以上です。
議決権は1人につき1つなので、株式会社が医療法人の経営を支配するには、過半数を超える社員及び理事を用意する必要があります。

医療法人の買収は医療法人が行うのが基本

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医療法人の買収を行う場合、医療法に基づいた手続きが必要です。

「医療法人の社員になれるのは個人でなければならない」、「理事長は医師または歯科医師でなければならない」などの決まりがあるため、医師免許を持つ者が居ない株式会社が医療法人の買収を行うことは、困難だといえます。

さらに、株式会社が医療法人を買収した場合、売り手側である医療法人が行ってきた医療を買い手側が引き継ぎ提供しなければなりません。
買収できるだけの財力はあったとしても、病院運営や医療の知識がなければ安定した医療の提供は難しく、患者やスタッフが離れてしまう可能性もあるでしょう。

非営利性が確保されていれば株式会社が医療法人を買収することは不可能ではありません。 しかし、買収後も引き続き医療を提供していく必要があります

医療法人の買収には専門的な知識が必要

株式会社同士の買収とは異なり、医療法人の買収はスキームや譲渡価格の計算が複雑なだけではなく、さまざまな行政手続きが必要になる場合があります。

非営利性が認められなければ認可が下りない医療法人の場合、条件によっては株式会社が選任した医師や歯科医師を理事長とすることが認められないケース もあります。

医療法人の買収、M&Aには、さまざまな専門知識やノウハウが必要です。
医療法人の買収を行う際は、医療法人のM&Aに熟練した仲介会社に依頼するのがおすすめです。

医療法人の買収は名南M&Aにご相談ください

医療法人の買収には、医療業界のM&Aに特化した専門的な知識、ノウハウが求められます。また、煩雑な手続きについても、一つひとつこなしてクリアしていかなければいけません。
これらの交渉、調査、手続きを、すべて株式会社や医療法人だけで行うのは、非常に困難です。
医療法人の買収は、医療業界のM&A実績が豊富な仲介会社に相談するのがおすすめです。

名南M&Aは、東海、近畿圏を拠点に、グループで全国800件以上の医療機関の業務サポートを行ってきた実績があります。
M&A実行までの煩雑な手続きや交渉を、担当アドバイザーが窓口となり実績のある専門チームでバックアップいたします。
医療法人の買収は、名南M&Aにぜひご相談ください。

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