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医療法人のM&Aの流れ、スキームや価格の算出方法について
医療法人のM&Aを検討する際は、医療法人の種類によってM&Aのスキームが変わります。また、株式会社のM&Aとは流れが異なるため、しっかりと理解しておくことが大切です。 そこで今回は、医療法人のM&Aの流れ、スキームや価格の算出方法について紹介します。
地域医療を守りながら後継者問題を解決できる医院・クリニックのM&Aは、近年増加傾向にあります。医師の高齢化や後継者不足が問題視されるなか、医院・クリニックのM&Aは、後継者不足に悩む医師にとっても、これから新規開業をめざす医師にとってもメリットがある方法です。
この記事では、医院・クリニックのM&A動向や基本スキーム、メリット・デメリットについて解説します。
2022年1月に帝国データバンクが発表した「医療機関の休廃業・解散動向調査(2021年)」によると、2021年に休廃業・解散した医療機関のうち、病院はわずか12件なのに対して、診療所の数は471件となっています。
その一方で、診療所の倒産件数はわずか22件です。
休廃業・解散とは、財務状況は健在であるにもかかわらず、医療機関としての業務を終了することを指し、倒産とは、経営状態が悪化して、事業の継続が不可能になることを指します。
つまり、財務状況は健在であっても、医師の年齢や後継者不足を理由に休廃業・解散する医療機関が非常に多いということです。
医師の高齢化や後継者問題は、今後ますます深刻化していくことが予想されています。
また、地方にある医院・クリニックは地域医療を担っているケースも多く、リタイアをしたくてもできないという医師も数多く存在しています。
このような背景から、医院・クリニックのM&Aの需要は今後もますます増え続けると言われているのです。
医院・クリニックには、主に個人事業、医療法人(持ち分あり)、医療法人(持ち分なし)の3種類が挙げられます。
個人なのか、法人なのか、持分ありなのか持分なしなのかによってM&Aのスキームが変わります。
法人格を持たずに個人経営している医院・クリニックは、営利目的での活動が可能で、収益は経営者である医師に帰属します。
事業範囲は、病院または診療所に限られており、開設できる数は1施設のみという限定があります。
個人事業の医院・クリニックの場合、建物や医療機器、内装設備などの事業用資産と、患者、職員を一緒に引き継ぐ事業譲渡スキームを用います。
医療法人とは、医療法の定めにより、診療所・病院・介護老人保健施設などを開設している組織です。
医療法人の診療所の場合、営利目的の活動は認められておりません。
医療法上では、決して利益を上げてはいけないという事では無く、剰余金の配当をしてはならないこと、法令により認められているものを除き、収益事業を経営していないこと。などが定められています。
医療法人には、持分ありと持分なしの2種類があります。
持分とは、法人を設立したときの出資割合により、出資者に認められている財産権や返還請求権のことです。
医療法人は、株式会社のように余剰金を出資者に配当することができません。
そのため、経営状態が良好な医療法人であるほど、余剰金は増えていくことになり、M&Aの実行にあたって高額な出資持分の払い戻しが必要なケースがあります。
出資持分なしの医療法人とは、財産権や返還請求権がない医療法人のことです。
持分なしの医療法人の場合、財産権や返還請求権がないので、譲渡や払い戻しは発生しません。
退職金の支払のみでM&Aを行うことになり、なかには適正額を超えた金額の支払が必要になるケースも出てくるため、慎重に検討する必要があるでしょう。
医院・クリニックのM&Aの基本的なスキームには、「事業譲渡」、「持分譲渡」、「合併」の3種類があります。
事業譲渡は、事業の一部を引き継ぐというものです。
医療法人の診療所の場合、複数の医療施設や老人施設を開設できるため、運営している診療所の一つを譲渡するということも可能です。
一般企業のM&Aでも事業譲渡は行われることが多く、異業種の会社に譲渡するといったケースもあります。
しかし、医院・クリニックM&Aの場合、譲渡できる相手は医師または医療法人に限定されています。
個人の場合はそもそも複数の診療所を運営することができないため、事業の一部だけを譲渡することはできません。
この場合は、事業のすべてを個人から個人、または個人から医療法人に譲渡することになります。
持分譲渡は、持分ありの医療法人のみが可能なM&Aスキームです。
譲渡側が所有している出資持分を譲受側が買い取ることで、医療法人の法人格を取得します。
持分譲渡によるM&Aは比較的スムーズに承継を進めることができるため、医療法人のM&Aで最も多く使われているスキームです。
合併は、2つ以上の医療法人が1つの医療法人になるというスキームです。
1つの医療法人のみが存続し、それ以外のすべての医療法人が消滅する「吸収合併」と、合併するすべての医療法人が消滅して、新たに医療法人を設立する「新設合併」があります。
医院・クリニックのM&Aを行う際は、メリット・デメリットともにしっかりと理解しておくことが大切です。
医院・クリニックのM&Aにおいて、譲受側には以下のようなメリットがあります。
一方で、譲渡側にも以下のようなメリットがあります。
医院・クリニックのM&Aにおける、譲受側のデメリットは以下の通りです。
また、譲渡側としても、以下のようなデメリットがあることを理解しておきましょう。
医院・クリニックのM&Aは、譲受側、譲渡側それぞれにメリットがある手法です。
しかし、相手が見つかったとしても交渉や複雑な手続きを行わなければならず、時間をかけて交渉しても必ず成立するとは限りません。
また、医院・クリニックのM&Aは一般企業のM&Aと比較すると、専門的な知識が必要かつ手続きが複雑なので、医師が1人で進めるのは非常に困難です。
医療業界における実績が多いM&A仲介会社を利用することがおすすめです。
後継者問題や、医師の高齢化が進んでいることから、医院・クリニックのM&Aの件数は年々増加傾向にあります。
M&Aは後継者がいない医師にとっても、これから新規開業や事業拡大を考えている医師にとっても双方にメリットのある方法です。
しかしM&Aを行う際は、医療の知識だけではなく税務、財務、労務、法務、不動産等の専門的な知識も必要になるため、M&A仲介会社を利用して行うのが一般的です。
名南M&Aは20年にわたる事業承継支援実績と、全国で800件以上の医療機関への業務支援実績あります。
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医療法人のM&Aを検討する際は、医療法人の種類によってM&Aのスキームが変わります。また、株式会社のM&Aとは流れが異なるため、しっかりと理解しておくことが大切です。 そこで今回は、医療法人のM&Aの流れ、スキームや価格の算出方法について紹介します。