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病院譲渡の進め方は?事業譲渡と医療法人譲渡の違いを分かりやすく解説

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医師の高齢化や後継者がいないなどの理由から、病院譲渡の数は近年増加傾向にあります。病院には大きく分けて、法人格を持たずに個人事業主として経営している病院と、医療法人として経営している病院があり、それぞれ進め方が異なります。

そこで今回は、病院譲渡の進め方や事業譲渡と医療法人譲渡の違いを分かりやすく解説します。

病院譲渡が増加する背景

病院譲渡が増加する背景

病院譲渡が増加している背景には、開業した医師の高齢化や後継者問題などが挙げられます。
日本の中小企業においても、経営者の高齢化や後継者がいないという問題はかなり深刻な状態になっていますが、医療業界も同様の傾向があります。

帝国データバンクの調査によると、診療所の代表者にもっとも多い年齢は2011年の調査で56歳、2021年で66歳となり、この結果は世代交代がまったく進んでいないことを意味しています。
また、後継者に関する調査においても、全業種における後継者不在率が65.1%であるのに対して、病院・医療業界の後継者不在率は73.6%と他の業種よりも高い結果になっています。

病院の後継者がいない理由として多いのは、医師の子ども、親族がいないことです。
病院譲渡は、子どもや親族が後継者になるのが一般的ですが、後継者がいない場合、知り合いの医師や第三者への譲渡を検討する必要があります。

病院譲渡とは?3つの進め方

病院譲渡とは、開業者が自分以外の医師に病院を譲ることです。
病院譲渡の進め方には、「親子間(親族間)譲渡」「知り合いの医師への譲渡」「第三者への譲渡」の3つの方法があります。

親子間(親族間)譲渡

病院の開業者が譲渡したい後継者としてもっとも多く挙げるのが、自分の子どもや親族です。
親子間(親族間)譲渡の必須条件は2つあり、子どもや親族が医師であること、そして病院を引き継ぐ意思があることです。
子どもが医師であったとしても、病院を引き継ぐ意思がないというケースもあるため、親子間(親族間)譲渡を希望する場合は、できるだけ早い段階から本人の意思を確認しておくことが大切です。

知り合いの医師への譲渡

血縁者や親族に譲渡する医師がいない場合は、知り合いの医師へ譲渡するというケースもあります。
自院で働いている医師に引き継ぐケースもありますが、非常勤の医師や大学の後輩医師に引き継ぐというのもひとつの方法です。
ただし、親子間(親族間)譲渡と同様に、後継者となる医師に引き継ぐ意思があることが条件となります。
知り合いの医師への病院譲渡を検討している場合も、できるだけ早い段階で後継者候補を挙げ、本人の意思を確認しておくことが必要です。

第三者への譲渡

親族や知り合いではなく、まったく関係のない第三者へ病院を譲渡するという方法もあります。
第三者への譲渡を検討する場合は、M&A仲介会社などに依頼するのが一般的です。
病院譲渡は、通常の企業M&Aよりも手続きが煩雑で、個人事業主と医療法人では譲渡の際の方法が異なります。また、譲渡先の候補が決まったとしても交渉が決裂してしまうこともあるため、病院譲渡に関する経験が豊富なM&A仲介会社に依頼し、慎重に進める必要があるでしょう。

病院譲渡で得られるメリット

病院譲渡やM&Aと聞くと、あまり良いイメージがないという方もいるかもしれません。
ですが、病院譲渡は「譲る側」にも「譲り受ける側」にも以下のようなメリットがあります。

譲渡する側

譲渡する側のもっとも大きなメリットは、地域の医療や現在働いているスタッフの雇用を確保した状態でリタイアできることです。
経営している病院を譲渡できれば、患者の転院先を探す必要はなく、スタッフも引き続き働くことができます。
また、開業医本人もまとまった譲渡代金を受け取ることができ、豊かな老後生活の資金にできるというメリットがあります。

譲受する側

病院の後継者となる医師にとっても、M&Aによって承継開業することは、安定経営の近道となります。
通院中の患者やオペレーションに慣れているスタッフをそのまま引き継げるため、集患や人材募集に関する経費を節約することができるというメリットがあります。
また、これまでの実績から開業後の経営の見通しも立てやすく、ゼロから病院を開業するよりも失敗しにくくなるでしょう。

事業譲渡と医療法人譲渡の違い

事業譲渡と医療法人譲渡の違い

病院を譲渡する場合、個人経営なのか医療法人なのかによって譲渡スキームが異なります。
個人経営の場合は、事業譲渡によって病院の譲渡を行います。
また、医療法人の場合は「出資持分あり」なのか「出資持分なし」なのかによってもスキームは変わるため、それぞれの違いを理解しておくことが重要です。

事業譲渡とは

事業譲渡とは、病院の事業の全部または一部を売却することです。
個人経営の病院だけではなく、複数の病院を経営している医療法人が特定の病院のみを譲渡する場合にも、事業譲渡が用いられます。
譲渡するのは事業のみのため、スタッフの雇用契約や医療機器のリース契約などは必ず引き継がれるわけではありません。継続するには、後継者となる医師が再契約をする必要があります。
また、負債は引き継がないため簿外債務リスクがないというメリットもあります。

医療法人譲渡とは

出資持分ありの医療法人譲渡は、リタイアする医師の出資持分を後継者に譲渡し、後継者となる医師が医療法人の役員に就任するのが一般的です。
また、出資持分なしの医療法人の場合は、時価純資産に営業権を加えた金額をリタイアする医師の退職金として支払います。
医療法人の場合、資産だけではなく負債も引き継ぐことになるため、スタッフの雇用契約や医療機器のリース契約はそのまま継続できます。
ただし、帳簿には計上されていない簿外債務を引き継いでしまうリスクがあるので注意しましょう。

病院譲渡を成功させるポイント

病院譲渡は、後継者さえ見つかれば上手くいくわけではありません。
病院譲渡をスムーズに進めて成功させるには、以下のポイントを押さえておきましょう。

できるだけ早く準備を始める

病院譲渡を決めたら、できるだけ早く準備を行うことが大切です。
医師の体調不良や経営状態の悪化などを理由に早く譲渡しなければならないとなると、どうしても譲渡先や価格面での妥協が必要となり、本来望む形での病院譲渡が難しくなるでしょう。
お互いの条件を叶える形での交渉を成立させるには、ある程度時間に余裕があることが望ましいです。

経営が好調なときのほうが良い

M&Aによって病院を譲受するメリットは、患者をそのまま引き継げる点にあります。
患者数が減少していたり、経営状態が悪化していたりすると、後継者となる医師のメリットが少なくなるため、病院譲渡は経営が好調なときに話を進めたほうが良いでしょう。

建物設備や医療機器のメンテナンスをしておく

病院の建物設備や医療機器が劣化している場合、譲受後に膨大な修繕費用がかかるリスクがあるため、敬遠されてしまう可能性があります。
普段から定期的なメンテナンスを行い、リスクを軽減しておきましょう。

病院譲渡は名南M&Aにご相談ください

病院譲渡は、病院を譲る側だけではなく譲り受ける側にもメリットがあります。
病院のM&Aは手続きや交渉が煩雑なため、経験が豊富なM&A仲介会社に相談し、アドバイスを受けながら進めると良いでしょう。

名南M&Aは、全国約800件の病医院経営の安定・成長をサポートしてきた実績があります。病院譲渡までの煩雑な手続きや交渉も、これまで培ったノウハウと実績のある専門チームでバックアップします。
病院譲渡をご検討の際は、ぜひ名南M&Aにご相談ください。

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