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ドクターハラスメントとは?患者を傷つけない対策方法

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ドクターハラスメントは、病院側と患者、家族の間で起こり得るトラブルの一つです。医師の場合、医療過誤や医療ミスなどが原因で裁判に発展することがありますが、ドクターハラスメントでも同様のリスクがあります。
そこで今回は、ドクターハラスメントの加害者にならないために、知っておきたい事例や患者を傷つけない対策について解説します。

ドクターハラスメントとは

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ドクターハラスメントとは、医師(ドクター)による患者に対する嫌がらせや無神経な言動などのことを言います。
ハラスメント問題で最も難しい点は、加害者側にそんなつもりが全く無かったとしても、被害者側としては精神的な苦痛を感じてしまっている可能性があるということです。

ドクターハラスメントの加害者にならないためには、医師が患者の気持ちを十分に理解しておくことが必要です。

ドクターハラスメントの事例

日本医師会では、「WMA(World Medical Association)のリスボン宣言」によって、患者の権利には以下の11の権利があるとしています。

  1. 良質の医療を受ける権利
  2. 選択の自由の権利
  3. 自己決定の権利
  4. 意識のない患者に対する権利
  5. 法的無能力(未成年など)な患者に対する権利
  6. 患者の意思に反する処置
  7. 情報に対する権利
  8. 守秘義務に対する権利
  9. 健康教育を受ける権利
  10. 尊厳に対する権利
  11. 宗教的支援に対する権利

つまり、医師はリスボン宣言によって患者の権利を守りながら、医療を提供しなければならないということになります。
しかし、実際には医師の言葉や行為によって傷ついた患者の事例も報告されています。

「言うこと聞けないなら他へ行って」

患者には、「選択の自由」と「自己決定」の権利があります。
セカンドオピニオンを求めた患者や、医師の医療方針に自分の考えを述べた患者に対して、「言うこと聞けないなら他へ行って」といった不適切な発言をしたり、患者に対して怒鳴ったりする行為はドクターハラスメントに該当します。

「もう子供いらないでしょ」

病気治療のために子宮を全摘しなければならない女性に対して、「もう子供いらないでしょ」という医師の無神経な発言があり、傷ついたという事例もあります。
病気の治療方針に対してどの方法を選択するかは、患者側に選択する権利があります。
患者側の事情を考慮せずにこのような発言をすることは、絶対に許されるものではありません。

「死んでも知らないよ」

医師の治療方針に対して、じっくり考えて結論を出したいという患者に対して、「死んでも知らないよ」「同じ症状の患者はこの前死んだよ」といった言葉は、無神経というだけではなく患者に対する脅しです。
医師が患者に対して「死んでも知らないよ」といった言葉を発することは信じがたいですが、実際にこのような発言に傷ついた患者の声もあります。

「病気になるのは母親の育て方が悪いから」

子どもの診察の際に、親に対して「病気になるのは母親の育て方が悪いから」「愛情が不足しているんじゃないですか」と言った言葉を言われて傷ついたという事例もあります。
病気になるのは、もちろん誰のせいでもありません。

「遊びすぎなんじゃないの」

産婦人科などでは、「遊びすぎなんじゃないの」といったセクシャルハラスメントに該当する言葉を医師に言われて、傷ついた事例もあります。
産婦人科では内診や乳房の触診といった診察があるため、男性医師による診察というだけで患者側は緊張してしまうものです。
軽い冗談のつもりで発した言葉であったとしても、このような言葉はドクターハラスメントに該当します。

「もう絶対に助かりません」

治る可能性のない患者に対する告知は、慎重に行う必要があります。
「もう絶対に助かりません」「どうせ助からないんだから、無駄なことはやめましょう」など、患者や家族を絶望に追い込むような発言は、精神的苦痛を与えることになります。

ドクターハラスメントを予防するには?患者を傷つけない対策

ハラスメントとは、「相手を不快にさせる」「人間としての尊厳を傷つける」「立場を利用して相手を脅す」といった行為のことです。
悪意や自覚がなかったとしても、相手がハラスメントを受けたと感じればハラスメントは成立します。
ドクターハラスメントを予防するためには、医師が患者の立場や気持ちを理解すること、患者が不安にならないように分かりやすい説明を心掛けることが重要です。

患者側から見た信頼できる医師とは

では、患者側から見た信頼できる医師とはどのような医師なのでしょうか。
患者が医師の対応でうれしかったと感じたエピソードには以下のようなことがあります。

  • 自分が不安に感じていることを、言葉にしてとても分かりやすく説明してくれた
  • いくつもの薬や治療法を提案してくれて、「一緒に治していきましょう」という気持ちが感じられた
  • 名前を名乗ってから説明を始めてくれた
  • 前に診察してもらったときの症状や治療方法などを覚えていてくれた
  • 気持ちを共感してくれた
  • 笑顔で対応してくれた

病院は、体調が悪い人やケガをしている人が来院する場所です。
医療の知識が豊富な医師にとってはたいしたことがないと感じることでも、患者側にとっては大きな不安になることがあります。
うれしかったエピソードを見ると、「一緒に頑張りましょう」と言ってくれる、「笑顔で対応してくれる」「しっかり説明をして、不安を取り除いてくれる」といった医師に対して信頼できると感じていることが分かります。
信頼される医師になるために、患者側の気持ちに配慮した対応が重要です。

患者を傷つけないための対策とは

ドクターハラスメントは、深刻な状況になると患者側の精神的な負担が大きくなり、患者の日常生活に支障をきたしてしまうことや、裁判に発展してしまうこともあります。
このような最悪な状況を回避するために、患者を傷つけないための対策が必要です。
もちろん、医療は100%ではないので治療が不可能な患者さんが来院されるケースもあるでしょう。
たとえこのようなケースであったとしても、患者側を傷つけるような言動や不安を煽るような言動を避け、患者の気持ちに配慮した対応が必要です。

・患者側の権利を理解する

患者には、良質な医療を受ける権利、選択や自己決定などの権利があります。
患者側から詳しい説明を求められたり、セカンドオピニオンを求められたりした場合は適切な対応が必要です。

・医師の意識改善を図る

最近は、医師に対する接遇研修を実施している病院も増えています。
ドクターハラスメントは、自覚がない状態で患者を不快にさせてしまっているケースも少なくありません。
患者を傷つけないためには、医師の意識改善を図ることも大切です。

他人事ではない!ドクターハラスメントは病院経営のリスク

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ドクターハラスメントは、医療過誤や医療ミスと同様に、全ての医師が注意しなければならない医療トラブルの一つです。
病院に対する苦情内容を見てみると、必ずしも病院や医師側に落ち度があるケースばかりではありません。
しかし、そのあとの対応の仕方を誤ってしまうと、クレームの内容がさらに悪化して病院経営にも悪影響を及ぼしてしまうことがあります。

実際にドクターハラスメントが原因で訴えられ、精神的苦痛に対する慰謝料請求が認められた判例もあります。
このような最悪な状況を回避するために、何気ない一言が患者を傷つけてしまう可能性があることを日頃から認識しておくことが必要と言えます。
友人同士であればたいした問題にならないことでも、医師と患者の関係になると大問題に発展してしまうことがあります。
院内のスタッフ教育を十分に行うなど、ドクターハラスメント対策を心がけるようにしましょう。

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