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医院(クリニック)承継問題の現状や方法について
近年、医院(クリニック)に従事する医師の年齢が高齢化し、自ら引退のタイミングを設定できる開業医は、より早い段階で医院の承継問題について検討する必要があると言われています。 そこで今回は、医院の承継問題の現状や承継の方法について紹介します。
近年、後継者がいないといった理由から、経営状態が良いにもかかわらず閉院する病院が増加傾向にあります。後継者不足、後継者がいないという病院は年々増加しており、事業承継に関する早めの検討が必要となっています。
そこで今回は、病院経営における後継者問題、早期に検討すべき事業承継について解説します。
病院経営における後継者問題は、年々深刻化しているといわれています。
まずは、病院経営者の平均年齢と後継者不在率から、病院の後継者問題について検証していきます。
厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、病院に勤務する医師の平均年齢は45.1歳ですが、診療所にの勤務する医師の平均年齢は60.2歳です。
病院開設者又は法人の代表者の年齢でみると、平成12年では61.5歳ですが、平成20年になると63.1歳と徐々に上がっていきます。
なかでも特に注目すべき点は、80 歳以上の病院開設者・代表者の人数です。
平成12年では231人でしたが、平成20年になると487人と8年前と比べ、倍以上の数字になっています。
厚生労働省「令和2年簡易生命表の概況」によると、男性の平均寿命は 81.64 歳、女性の平均寿命は 87.74 歳です。
日本人の平均寿命と病院経営者の平均年齢を比較してみると、後継者問題が深刻な状況になっていることが分かるのではないでしょうか。
帝国データバンクが発表した「全国企業「後継者不在率」動向調査(2020 年)」によると、全国の後継者不在率は 65.1%という結果が出ています。
医療機関だけを見ると、2020年における後継者不在率は73.6%で、ほかの業種と比較すると高い傾向があります。
後継者の不在率は、必ずしも後継者がまったくいないというケースだけではなく、現時点での後継者が決まっていない医療機関の数も含まれています。
しかし、後継者がまったくいない病院経営者は、何もしなければ病院の継続が難しくなる可能性が高いです。病院を継続するための対策を早めに検討し始めることが重要です。
病院経営を継続するために検討すべき事業承継パターンとしては、以下の3つの方法があります。
病院の事業承継で最も多いのが親子間、親族間での承継ですが、近年は減少傾向にあると言われています。
病院を承継するためには、医師免許を所有する子ども又は親族が必要です。
子どもがいても医師免許を持っていなければ、安心して承継することは難しくなるでしょう。
また、医師である子どもや親族がいたとしても、診療科の違いで承継が難しいケースや、子どもや親族が承継を拒否するケースなど、思うように承継が進まないこともあります。
親子間や親族間での承継を希望する場合は、できるだけ早い段階から後継者について検討しておくことが必要です。
子どもや親族の中にふさわしい後継者がいない場合には、役員や従業員として働いている医師へ事業承継するパターンもあります。
役員・従業員に承継するメリットとしては、人材育成に必要な時間を短縮できる、後継者でとなる役員・従業員のモチベーションアップにつながるなどが挙げられます。
実際、医療機関の親族外への承継は、増加傾向にあります。
ただし、経営者保証で融資を受けている場合は、承継者が連帯保証人になることを求められる場合もあり、それにより事業承継を断られるケースも存在します。
後継者問題に悩む病院経営者のなかには、M&Aによる第三者承継を選択するケースもあります。
病院のM&Aには、「合併」「事業譲渡」「出資持分譲渡」などのスキームがあり、契約交渉や手続きは非常に複雑であるものの、売却側の病院経営者としては譲渡代金を受け取ることができ、患者やスタッフを新たな医師に引き継げるため、スムーズなリタイアができるというメリットがあります。
病院や診療所の休廃業・解散は、病院や診療所で働くスタッフだけではなく、地域医療にも大きな影響を及ぼします。
M&Aによる第三者への承継は、病院や診療所を継続させるための有効な手段の一つです。
病院の第三者承継は、後継者不足に悩む病院経営者だけではなく、開業を検討している医師にとってもメリットがあります。
病院を引き継ぐ医師側のメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
開業を希望する場所にすでに同じ診療科の病院がある場合、同じ診療圏内に新たに病院を開業したとしても、集患が難しいケースが多いです。
しかし承継開業であれば、周辺住民に病院の場所を認知された状態で開業できるため、スムーズな集患が可能となります。
病院を新規開業する場合、多額の初期費用がかかります。
特に戸建て開業する場合は、「開業地の調査費用」「土地取得費用」「建物の建築費用」「内装費」などを考慮すると、建てるだけでも高額な資金が必要になるでしょう。
しかし、承継開業であれば、既存の建物を引き継いで開業することができます。
土地や建物の譲渡代金を支払う必要はあるものの、開業地の調査費用や内装費などは抑えることができます。
病院を新規開業する場合、新規で患者を獲得しなければならないため、経営が安定するまでに時間がかかります。
承継開業であればすでに病院としての実績があるため、どれくらいの集患が見込めるか、どれくらいの収益が見込めるかなど、経営に関する数字をある程度把握した状態で開業することが可能です。
そのため、新規開業よりも先の見通しが立てやすく、経営が安定しやすいというメリットがあります。
承継開業の場合、今まで働いていたスタッフを引き継ぐことが可能です。
すでに病院オペレーションに慣れたスタッフが一緒に働いてくれることで、開業後の病院運営がスムーズになり、人材募集に必要な経費も抑えることができます。
病院経営において、医師の高齢化や後継者問題は年々深刻な状況になっており、休廃業・解散の数の増加にもつながっています。
後継者不足に悩む病院から開業を検討している医師へ「地域医療の志をつなぐ」ことができるのが、M&Aによる病院の第三者承継、承継開業です。
後継者がいない医師から、新規開業をめざす医師に病院を引き継ぐことで、今まで培ってきた地域医療を絶やさずに続けていくことが可能になります。
しかし、通常業務をこなしながら、承継先、承継元を探すのは簡単なことではありません。
名南M&Aは、グループで全国800件以上の医療機関の業務サポートで培ったグループノウハウを持つ医業専門チームが一丸となり、承継元の医師、承継先の医師のサポートを行っています。M&Aによる病院の第三者承継、承継開業は、名南M&Aにご相談ください。
近年、医院(クリニック)に従事する医師の年齢が高齢化し、自ら引退のタイミングを設定できる開業医は、より早い段階で医院の承継問題について検討する必要があると言われています。 そこで今回は、医院の承継問題の現状や承継の方法について紹介します。