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地方開業医のほうが年収は高い?地域差が生まれる理由を解説
開業医は勤務医よりも年収が高い傾向がありますが、開業する地域によって医師の年収に差があるという話を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。 そこで今回は、地方開業医のほうが本当に年収は高いのか、地域によって年収に差が生まれる理由について解説します。
勤務医の年収は、診療科や年齢、役職などによって違いがあります。
そこで今回は、勤務医の平均年収や勤務先や診療科、役職による年収の違いについて解説します。
「第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」によると、個人病院を含む病院・診療所全体の平均年収は、医師が1,490.8万円、歯科医師が1,210.0万円です。
また、令和3年賃金構造基本統計調査によると、勤務医の平均年収は1,378万円です。
勤務医と医師全体の平均年収を比較すると、勤務医の平均年収のほうが110万円ほど低くなっています。
つまり、開業医と勤務医を比較すると、開業医の年収のほうが高い場合が多いことが予想されます。
また、勤務医の平均年収を男女別に比較してみると、男性医師の平均年収は1,469.9万円ですが、女性医師の平均年収は1,053.7万円となっており、男性医師のほうが400万円以上高いという結果が出ています。
女性の平均年収が低くなってしまう理由としては、「子育てや介護などで時短勤務をしている場合がある」「男性医師と比較すると、女性医師の平均年齢のほうが低い」といったことが考えられるでしょう。
医師の平均年収は、勤務先によっても違いがあるのでしょうか。
「第23回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」をもとに比較した結果、もっとも年収が高いのが、「公益法人」「学校法人」「社会福祉法人」「医療生協」「会社」「社会医療法人」、「その他の法人が開設した病院」に勤務している医師で、反対に最も低い年収がったのが国立病院に勤務している医師です。
国立病院は、医療の提供だけではなく、臨床研究と治験、良質な人材の育成という役割を担っています。
収益性の低い医療の提供などを行うことが求められるため、それが医師の年収にも影響していると考えられます。
以下は、勤務先別に勤務医の平均年収を比較した結果です。
国立病院とは、「国、独立行政法人国立病院機構」「国立大学法人」「独立行政法人労働者健康安全機構」「国立高度専門医療研究センター」「独立行政法人地域医療機能推進機構が開設した病院」です。
国立病院の医師の平均年収は1,323.9万円です。
公立病院とは、「都道府県立」「市町村立」「地方独立行政法人が開設した病院」です。
公立病院の医師の平均年収は、1,472.6万円です。
公的病院とは、「日赤」「済生会」「北海道社会事業協会」「厚生連」「国民健康保険団体連合会が開設した病院」です。
公的病院の医師の平均年収は、1,384.1万円です。
社会保険病院等とは、「健康保険組合及びその連合会」「共済組合及びその連合会」「国民健康保険組合が開設した病院」です。
社会保険病院等の医師の平均年収は、1,427.6万円です。
医療法人とは、「医療法により設立を認められた法人」です。
医療法人の医師の平均年収は、1,506.2万円です。
その他の病院とは、「公益法人」「学校法人」「社会福祉法人」「医療生協」「会社」「社会医療法人」、「その他の法人が開設した病院」です。
その他に含まれている病院の医師の平均年収は、1,535.6万円です。
診療科 | 平均年収 |
---|---|
脳神経外科 | 1,480.3万円 |
産科・婦人科 | 1,466.3万円 |
外科 | 1,374.2万円 |
麻酔科 | 1,335.2万円 |
整形外科 | 1,289.9万円 |
呼吸器科・消化器科・循環器科 | 1,267.2万円 |
内科 | 1,247.4万円 |
精神科 | 1,230.2万円 |
小児科 | 1,220.5万円 |
救急科 | 1,215.3万円 |
放射線科 | 1,103.3万円 |
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科 | 1,078.7万円 |
(出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」)
診療科別に医師の平均年収を比較してみると、高い技術力が求められる脳神経外科が最も年収が高くなっています。
また、内科系の医師と比較すると、外科系の医師の年収が高くなる傾向にあります。
外科の場合、技術力が高い医師は好条件で勤務できる可能性があるだけではなく、患者の急変や緊急手術などに備えて当直やオンコールの対応などがあるため、勤務時間の長さが年収に反映されていると考えられます。
勤務医の平均年収は、役職の違いによっても異なります。
病院長になると一般診療所、診療所に関係なく年収が高くなりますが、医師の場合は一般病院の勤務医の年収が最も高く、入院設備を持たない無床診療所の勤務医の年収が最も低くなっています。
歯科医院の場合、一般病院と診療所の違いによる年収の差はほとんどありません。
厚生労働省「平成30(2018)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、勤務医と開業医の割合をみると、ほとんどの医師が勤務医として働いていて、開業医の割合は20%程度にとどまっています。
一方で、2011年に労働政策研究・研修機構(JILPT)で行われた調査によると、勤務医の52.1%は複数の勤務先があると回答しています。
複数の勤務先を持つ理由としては、「収入を増やしたい」(48.1%)がもっとも多く、「勤務先からの指示」(36.5%)、「1つの勤務先だけでは生活自体が営めない」(34.4%)、「不足している専門科の病院から要請があった」(33.4%)と回答し、年齢が低い医師ほど、複数の病院で勤務する傾向が高くなっています。
勤務医が平均年収を上げる方法には、「専門的な技術を身につける」「勤務時間を増やす」といったことが考えられますが、医師不足の地域では医師を好待遇で迎え入れていることも多いため、医師不足に悩んでいる地域へ勤務先を変えるといったことも一つの方法です。
第23回医療経済実態調査の報告(令和3年実施)をもとに勤務医と開業医の平均年収を比較すると、入院施設を持つ開業医の平均年収は2,965.5万円ですが、一般病院の勤務医の年収は1,467.8万円となっており、その差は1,500万円にものぼります。
開業も視野に入れて医師や経営者としてのスキルを高めていけば、将来の年収アップにつながるでしょう。
医師の半数以上が勤務医として働いている現状がある一方で、「収入を増やしたい」「1つの勤務先だけでは生活が営めない」という理由から複数の病院で勤務している勤務医が半数以上を占めています。
専門的な知識や技術を身につけたり、勤務時間を増やしたりすることで年収アップをすることは可能ですが、確実に年収をアップしたい場合は、開業医を目指すのも一つの方法です。
近年、後継者がなく、経営が安定しているにもかかわらず、閉院を余儀なくされている診療所が増加しています。
その一方で、承継開業による開業を行っている医師も増えてきています。
承継開業とは、地域医療を後進に託す医師の診療所とその志を受け継ぐ形で開業医になる方法です。
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開業医は勤務医よりも年収が高い傾向がありますが、開業する地域によって医師の年収に差があるという話を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。 そこで今回は、地方開業医のほうが本当に年収は高いのか、地域によって年収に差が生まれる理由について解説します。