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出資持分のある医療法人が抱える課題とは?出資持分なしの移行パターンを解説

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平成19年4月に医療法が改正されたことにより、出資持分のある医療法人の新規設立はできなくなりました。しかし、今でも医療法人の約7割が、持分ありの医療法人だといわれています。
そこで今回は、出資持分のある医療法人が抱えている課題、出資持分なしへ移行するパターンについて解説します。

医療法人の出資持分に関する課題

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医療法人では非営利性が求められているため、余剰金の配当を行うことが禁止されています。
余剰金が発生しても分配することができないため、経営状態が良い医療法人ほど、余剰金が積み上げられていきます。
余剰金が高額になると医療法人の出資持分評価額も高額になり、以下のような問題が発生しています。

出資持分の払戻しの問題

医療法人の設立時に出資した社員が退社する場合、退社時に出資持分の払戻し請求を行うことができます。
出資持分の払戻しは、出資額そのものを払い戻すのではなく、出資額の割合に応じた金額と定められていることがほとんどです。
そのため、出資額自体は少額であったとしても、その後の経営によって高額の余剰金が積み上がっている場合、退社時に支払うべき払戻額は、何倍にも膨れ上がっている可能性があるのです。
その結果、出資持分の払戻し請求によって高額な支払いが必要となり、病院経営を圧迫してしまう問題が起きています。

相続税の問題

多くの医療法人では、出資持分の大半を創業者である理事長が保有しています。
創業者である理事長が死亡した場合、その出資持分は相続財産となり、相続した人に相続税が課せられます。
前述の通り、医療法人の出資持分は創業時の何倍にもなっている可能性が高く、財産価値が高額になればなるほど、相続税も高額となります。
相続人が相続税を支払えない場合、医療法人に対して払戻し請求を行うことになります。
しかし、高額の払戻しに耐えられる医療法人は多くなく、結果的に病院の存続が難しくなる可能性があります。

解散時の残余財産分配

医療法人は、存続している間は余剰金の分配(配当)を行うことはできませんが、持分あり医療法人の場合、解散時の残余財産の分配については認められています。
しかし、残余財産の分配が実質的な配当金の分配に当たるのではといわれており、非営利性が保たれないという指摘があります。

出資持分のある医療法人から出資分なしへ移行するパターン

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平成19年に医療法の改正が行われ、出資持分ありの医療法人の新規設立はできなくなりました。
しかし、現在存在している医療法人の7割程度は出資持分ありの医療法人だといわれています。
出資持分ありの医療法人が出資持分なしの医療法人に移行すれば、前述したような問題を解消することも可能です。
出資持分なしに移行する場合、いくつかのパターンから選択することができます。

経過措置型医療法人として現状維持

持分ありの医療法人のうち、社員の退社時に発生する出資持分の払い戻しや医療法人解散時の残余財産の配分に限度額が定められている社団医療法人のことを「出資限度額法人」といいます。
平成19年に医療法が改正されたことにより、出資額限度法人は「経過措置型医療法人」に改定されました。
経過措置型医療法人の場合は、そのまま現状維持を続けるという選択をすることも可能です。
ただし、出資持分の払戻しの問題、相続税の問題が起こる可能性は残ります。

特定医療法人・社会医療法人への移行

特定医療法人とは、租税特別措置法第67条の2第1項に規定する特定の医療法人のことを指し、社会医療法人とは、救急医療やへき地医療、周産期医療など特に地域で必要な医療を担う医療法人を指します。

出資持分ありの医療法人が特定医療法人、社会医療法人として認められるためには、出資持分を放棄または払い戻す必要があります。
また、特定医療法人は租税特別措置法に、社会医療法人は医療法に規定された厳格な要件をクリアしなければなりません。

定款変更による出資持分なし医療法人への移行

持分ありの医療法人は、定款を変更し、出資持分を放棄または払戻しすることで、持分なしの医療法人へ移行させることができます。
ただし、定款を変更して持分なしに移行した場合、相続税法第66条第4項の規定による贈与税の課税問題が残る可能性があります。

基金制度を採用した医療法人への移行

基金制度を採用した医療法人とは、持分のない医療法人で、定款の定めによって法人の活動資金として基金を採用している医療法人です。
出資持分のある医療法人が基金制度を採用した医療法人へ移行する場合、もともとの出資額に加え、利益剰余金部分も含めて基金として振り替えた場合、みなし配当として所得税が課税される場合があります。

出資持分なしの医療法人との合併

出資持分なしの医療法人と合併することで、出資持分なしの医療法人へ移行することができます。
合併には、どちらかの医療法人のみを存続させる「吸収合併」と、合併するすべての医療法人を解散し、新たに医療法人を設立する「新設合併」があります。
どちらの合併を選んだ場合も、解散した医療法人の資産、負債、権利義務を合併後の医療法人が引き継ぐことになります。

出資持分なし医療法人との合併は名南M&Aにご相談ください

出資持分ありの医療法人は、出資者にとってはメリットになる部分もありますが、大きな課題も抱えています。

持分ありの医療法人が持分なしの医療法人に移行する方法はいくつかありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

また持分なしの医療法人に移行した後、持分ありの医療法人に戻すことはできないため、慎重に進める必要があるでしょう。

合併を利用して出資持分なしの医療法人に移行する方法を選択する場合、医療法人の合併は一般的な株式会社の合併よりも手続きが煩雑になるため、医療承継に熟練したM&A仲介会社に依頼することがおすすめです。

名南M&Aは、グループで全国800件以上の医療機関の業務サポートで培ったノウハウを持つ医業専門チームが一丸となり、医師のサポートを行います。
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