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医院(クリニック)承継問題の現状や方法について

医院(クリニック)承継問題の現状や方法について

近年、医院(クリニック)に従事する医師の年齢が高齢化し、自ら引退のタイミングを設定できる開業医は、より早い段階で医院の承継問題について検討する必要があると言われています。
そこで今回は、医院の承継問題の現状や承継の方法について紹介します。

医院(クリニック)承継とは

法人の事業承継とは異なり、医院(クリニック)は親子間で承継されるケースが多くなっていますが、開設者や管理者を変更する必要があるため、現院長の廃業手続きと、新院長の開業手続きが必要になります。
また、親子間で医院を承継する場合、生前承継と相続による承継がありますが、それぞれに留意しなければいけないポイントが異なります。

医院(クリニック)承継問題の現状

医院(クリニック)の問題の一つに医師の高齢化があります。

医院の場合、いわゆる定年がないため高齢になっても現役を続けている医師が大勢います。厚生労働省のデータによると、医院の開設者、勤務者の平均年齢が1975年では54.4歳でしたが、2014年になると59.2歳まで上昇しています。子供などの後継者がいる場合はそのまま引き継ぐこともできますが、子どもが医師であっても専門の診療科が違うなどの理由で医院を引き継ぐことが難しいケースも少なくありません。

また、個人医院の場合は地域に根付いた医療を提供していることも多く、後継者がいないという理由でクリニックを閉院することが難しいケースもあります。

その一方で、医師の数は年間8,000人ずつ増えていると言われていますが、病院数やベッド数は年々減少傾向にあります。そのため、開業医をめざす人の数は増えていますが、開業を希望する場所にすでに他の医療機関があるなどのケースも多く、開業医の競争が激しくなっています。

このような背景から親族間の医院承継だけではなく、第三者への譲渡を検討する医院が増えています。

医院(クリニック)承継問題の現状

医院(クリニック)承継の方法

医院(クリニック)の承継は、「個人医院」と「医療法人」で方法が異なります。

個人医院の場合

個人医院の場合、承継方法には生前承継と相続承継があります。
生前承継は、事業を譲る側(親)が生きている間に医院承継を行うことをいいます。親子間で承継するケースが多いことから、売却や貸付ではなく、贈与という形で行われることが多くなっています。
相続承継は、事業を譲る側(親)が亡くなった後に医院承継を行うものです。相続承継は、厳密にいうと承継ではなく相続にあたるため、開業した医師(親)が亡くなる前に親子間で承継について話し合い、医院を引き継ぐにあたって必要な土地や建物を子供がスムーズに相続できるよう、親は遺言書などで対策をしておく必要があります。
相続には、遺留分制度といって一定の範囲の法定相続人に対して最低限の遺産取得を保障する制度があります。そのため、複数の法定相続人がいる合には、相続承継する財産の遺留分として、代償金を支払わなければならなくなる可能性もあります。

医療法人の場合

医療法人を親子間で承継する場合、経営権の承継と資産の承継を行う必要があります。
個人医院の場合は、「親子間の承継」や「第三者への譲渡」という形で医院承継を行うのが一般的ですが、医療法人の場合は、それに加えて他の医療法人との合併という形で事業承継を行うことがあります。
合併には、合併後にどちらかの医療法人が消滅する吸収合併と、合併を行うことで新たな医療法人を新設する新設合併があります。合併を行う場合は、法人の区分(社団または財団)によって合併の条件が異なりますので注意が必要です。

医院(クリニック)承継時の注意点

医院(クリニック)の承継時には、以下のような問題が発生することがあります。

医院(クリニック)承継時の注意点

社員やスタッフが辞めてしまう

医院承継によって院長が交代すると、社員やスタッフが辞めてしまう可能性があります。
病院を開設した院長とともに長年に渡って仕事をしてきた社員やスタッフで運営されている医院も多く、仮に親子間で事業承継を行ったとしても、前院長の元で働いていた社員やスタッフに必ずしも受け入れられるとは限りません。
医院承継は、スタッフや患者さんを引き継いで事業を継続できる点が大きなメリットですが、前院長と社員やスタッフの絆が強い場合、社員やスタッフが辞めてしまう可能性もあるという点に注意が必要です。

患者が離れてしまう

個人医院の場合、医師が一人で全ての患者さんの対応をしていることも珍しくありません。そのため、医院承継によって院長が変わることで、患者さんが離れてしまう可能性があります。特に、前院長が長年に渡って一人で医院を切り盛りしていたというケースでは、大きな不安を感じてしまう患者さんもいるでしょう。
このような状況を防ぐためには、事業を完全に引き継ぐ前に新院長もできるだけ患者さんと接する機会を増やすようにし、患者さんに認知してもらうようにすると良いでしょう。

手続きが複雑

医院承継は、一般企業の事業承継よりも手続きや譲渡資産、税金の計算が複雑です。
個人医院、医療法人によっても承継方法が異なりますし、医療法人の場合では社団法人なのか、財団法人なのかによっても異なります。また、親子間で医院承継する場合でも、生前承継なのか相続承継なのかによって必要な手続きや計算は変わります。
医院承継は、必要な手続きや譲渡資産、税金などの計算が複雑なため、医院承継の経験が豊富なアドバイザーのサポートを受けることをおすすめします。

完了までに時間がかかる

医院の場合、新規で開業するよりも医院承継によって開業したほうが、開院までの時間を短縮できると言われています。これは、建物を建築する時間を短縮できることや、スタッフを集める時間を短縮できることなどが理由です。
しかし、前述の通り、医院承継は一般企業の事業承継よりも譲渡資産や税金などの計算方法が複雑で、医院の形態によっても承継に必要な準備や手続きが異なります。事前の準備も含めると、医院承継が完了するまでには6ヶ月~1年程度の時間がかかるため、十分な準備期間を確保しておく必要があります。

医院(クリニック)承継は専門家に相談しよう

医師の高齢化に伴い、医院(クリニック)承継を検討する人は年々増えています。医院の承継には、贈与や相続、譲渡に関する法務や税務の知識、医療法人に関する知識など、専門的な知識が必要です。特に高齢を理由に医院承継を希望する場合は相続が絡むケースも多いため、慎重に進めなければ親族間でトラブルが発生する可能性もあるでしょう。
医療業界のM&Aは、一般の事業会社とは異なる対応が求められます。名南コンサルティングネットワークは、事業承継支援20年にわたる実績があり、800件の医療機関への業務支援実績あります。医院(クリニック)の承継を検討している方は、ぜひ名南M&Aにご相談ください。

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