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医師の開業における実態とは?知っておきたいメリット・デメリット
医師にとって、開業医か勤務医かの選択は今後のキャリアを左右する大事な問題です。 そこで今回は、医師の開業における実態や、開業にあたって知っておきたいメリットやデメリットについて紹介します。
医師が開業をめざす場合、個人事業主として開業するのか、法人化するのか、悩む方も多いのではないでしょうか。
今回は、医師が個人事業主になるメリット・デメリット、法人化との違いについて解説します。
目次
医師が個人事業主になるメリットは、主に以下の2点です。
個人事業主のメリットとして最も大きいとされているのが、節税対策です。
個人事業主に課せられる税金は、「所得税」「住民税」「事業税」の3つですが、これらの金額は所得額に応じて算出されるため、開業して間もなく収入が少ないときは、法人よりも節税効果が高くなります。
医師が個人事業主になると、事業のために使った費用は経費計上できるようになります。
そのため、勤務医時代よりも経費を使いやすくなる点もメリットの一つです。
クリニックで使用する医薬品や消耗品、医療機器はもちろんですが、クリニックで使用するクルマの購入費や駐車場代、ガソリン代、家族を雇用した場合に支払う給料なども経費として計上することができます。
ただし、経費として認められるものは、あくまでもクリニックの経営、事業運営に必要なものに限ります。
医師が個人事業主になるデメリットとしては、
などが挙げられます。
医師が個人事業主になると、勤務医時代とは違い、毎年確定申告を行わなければいけません。
また、個人事業主の場合、所得に応じて所得税率が変わるため、クリニックの経営が安定して収入が増えると、支払う税金が増えるという点もデメリットと言えます。
個人事業主として開業した医師も、経営が安定し、利益が出せるようになったときは、法人化することでメリットが得られる場合もあります。
個人事業主である医師が法人化するメリットは、主に以下の通りです。
個人事業主の場合、所得に応じて対して税率が変わります。
以下の表は、個人事業主の所得税率です。
課税される所得税額 | 税率 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
195万円を超え 330万円以下 | 10% |
330万円を超え 695万円以下 | 20% |
695万円を超え 900万円以下 | 23% |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% |
1,800万円を超え 4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超/td> | 45% |
(出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」)
こちらは、法人化した場合の法人税率です。
区分 | 適用関係(開始事業年度) | ||||
---|---|---|---|---|---|
特定の医療法人 | 800万円以下の部分 | 下記以外の法人 | 15% 【16%】※1 |
15% 【16%】 |
15% 【16%】 |
適用除外事業者 | 19% ※2 【20%】※2 |
||||
800万超の部分 | 19% 【20%】 |
19% 【20%】 |
19% 【20%】 |
※1:特定の医療法人とは、措法第67条の2第1項に規定する国税庁長官の認定を受けたものをいいます。
※2:平成31年4月1日以後に開始する事業年度において適用除外事業者に該当する法人の年800万円以下の部分については、19パーセント(その特定の医療法人が連結親法人である場合には、20パーセント)の税率が適用されます。
(出典:国税庁「No.5759 法人税の税率」)
個人事業主の場合、5%から最大で45%まで税率が上がるのに対して、法人の場合は800万円を超えても税率は19%です。
法人税の税率はほぼ一定なので、所得額によっては法人化したほうが節税効果は高くなります。
年間利益が赤字になった場合、個人事業主の場合は赤字を3年間繰り越すことができます。
繰り越した赤字は翌年の利益から差し引くことができるため、赤字経営が続いてしまう場合は、赤字の繰り越しができると結果的に税金を節約することができます。
個人事業主から法人化した場合、9年間赤字を繰り越すことができるようになります。
赤字が続いている場合は、この6年間の差はかなり大きなものとなるでしょう。
個人事業主の場合は原則として複数の医療機関を開設することができません。
そのため、将来的に複数の病院経営や老人施設など病院以外の事業展開も視野に入れている場合は、法人化することで事業拡大がしやすくなります。
一般的に、個人事業主と法人では、法人のほうが社会的信用度は高い傾向にあります。
事業拡大や追加融資が必要になった場合は、法人化したほうが審査に通りやすくなるでしょう。
個人事業主である医師が法人化する場合は、デメリットについても理解しておきましょう。
医療法人として経営をする場合、決算書の作成や法人税の申告など、個人事業主として確定申告をしていたときよりも、はるかに事務手続きが増えます。
確定申告は自分で行っていたという医師も、医療法人の経理事務や税務は専門的な仕事となるため、専門のスタッフを雇うか、税理士などに依頼することを検討したほうが良いでしょう。
個人事業主の場合は、事業が赤字になったときは所得が0円になるため、所得税や住民税を支払う必要がありません。
しかし、法人の場合は赤字でも法人税を支払う必要があります。
そのため、クリニックが赤字経営の状態で法人化すると、税負担が大きくなってしまいます。
個人事業主の場合、常時雇用している従業員が5人に満たない場合は社会保険への加入は義務付けられていません。
ですが、法人の場合、すべての法人に対して社会保険への加入が法律によって義務付けられています。
社会保険は本人負担と会社負担分があるため、社会保険の加入によって会社負担分の保険料の支払いが発生することになります。
病院を開業する場合、個人事業主として開業するか法人化するか悩む方も多いでしょう。
特にクリニックを新規開業した場合、診療報酬が医療機関に入金されるまでに2ヶ月ほどかかるほか、安定した集患ができるまで時間がかかるケースが多いため、個人事業主として開業するメリットが大きい可能性が高いと言えます。
しかし、安定した集患ができるようになり、医師としての所得が増えてきた場合は、法人化したほうのメリットが大きくなるケースもあります。
個人事業主としてクリニックを経営する場合も、法人化する場合も、どちらにもメリットとデメリットがあるため、内容を十分理解した上で判断することが必要です。
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医師にとって、開業医か勤務医かの選択は今後のキャリアを左右する大事な問題です。 そこで今回は、医師の開業における実態や、開業にあたって知っておきたいメリットやデメリットについて紹介します。